大銀杏とは?歴史・相撲の条件から全国の巨樹の名所まで徹底解説
日本国内の歴史ある寺社仏閣や雄大な自然、そして大相撲の土俵を華やかに彩る「大銀杏(おおいちょう)」。その名称や存在は広く知られているものの、「通常のイチョウと何が違うのか」「大相撲においてどのような力士が結うことを許されるのか」といった具体的な定義や背景については、意外と知られていない点も少なくありません。
本記事では、大銀杏の基本的な意味や歴史、語源をはじめ、相撲界における厳格な条件や美しい結い方の仕組み、さらには全国に点在する迫力ある巨樹としての名所や見頃の時期まで、多角的な視点から徹底的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:大銀杏とは、大きく成長したイチョウの巨樹を指すほか、大相撲で十両以上の関取が結う格式高い大イチョウの形に似た髪型を意味する。
- 要点2:相撲界では幕下以下の力士が結う「丁度(ちょうど)」とは異なり、十両以上に昇進した関取だけが土俵上で結うことを許される特別な格式の象徴である。
- 要点3:全国には樹齢数百年を誇る天然記念物級の巨樹が数多く存在し、秋の紅葉シーズンには黄金色に染まる絶景スポットとして多くの観光客を魅了している。
大銀杏とは?言葉の由来・歴史と通常のイチョウとの違い
「大銀杏」という言葉には、大きく分けて植物としての「巨樹・老樹」を指す意味と、大相撲の力士の「髪型」を指す意味の2つの側面があります。まず植物としてのイチョウ(Ginkgo biloba)は、恐竜時代から生存している「生きた化石」とも称される裸子植物であり、日本には中国大陸から仏教伝来とともに渡来したと考えられています。
通常のイチョウが年月を経て数百年から1000年以上の歳月を重ねると、幹が太く肥大化し、気根と呼ばれる垂れ下がりが生じるなどして圧倒的な存在感を放つようになります。こうした歴史的・景観的に価値の高い大イチョウが「大銀杏」として各地で大切に保護されてきました。語源の面でも、葉の形状が鴨の足に似ていることから「鴨脚(アーツァオ)」と呼ばれていたものが、日本で「イチョウ」に転じ、さらにその堂々たる巨樹の姿から「大銀杏」と呼ばれるようになったとされています。
大相撲における大銀杏の条件と格式・役割
大相撲の世界において、大銀杏は単なる髪型以上の重みを持つ、関取のステータスそのものです。日本相撲協会の規定により、大銀杏を結うことが許されるのは十両以上の地位にある関取に限られています。
幕下以下の力士が結う髪型は「丁度(ちょうど)」と呼ばれる、いわゆる普通のちょんまげであり、髷の先端が小さくまとまっています。これに対し、関取に昇進すると、床山(ゆかやま)と呼ばれる専門の髪結い職人が、鬢付け油をたっぷりと使って髪をイチョウの葉が広がったような形に美しく整えます。この大銀杏には、激しいぶつかり合いで頭部を保護するクッションとしての実用的な役割があるだけでなく、土俵上の力士の威厳を引き立て、観客を魅了する伝統美としての大きな意味を持っています。
| 項目 | 幕下以下の力士(丁度) | 関取・十両以上(大銀杏) |
|---|---|---|
| 髪型の形状 | 一般的な小さなちょんまげ(丁度) | イチョウの葉が広がったような扇状の髷 |
| 結髪の資格 | すべての幕下以下、育成・練習生 | 十両、幕内、三役、大関、横綱の関取 |
| 主な役割 | 稽古や日常の機能的な髪型 | 土俵上の威厳、頭部保護、格式の象徴 |
| 担当職人 | 主に若手や師匠・兄弟子 | 熟練の技術を持つ専属の床山 |
美しい大銀杏の結い方と職人技の裏側
大銀杏の美しさは、熟練した床山の高度な技術なしには成り立ちません。髪の毛をただ逆立てるだけでなく、相撲特有の重厚感と優美な曲線を作り出すためには、伝統的な道具と長年の経験が必要です。
結髪の際には、相撲界特有の甘い香りが漂う「鬢付け油(びんつけあぶら)」を髪にしっかりと染み込ませ、櫛(くし)を使って一本の乱れもないように髪を整えていきます。後頭部の髷をイチョウの葉の扇形に開き、根元を元結(もとゆい)でしっかりと固定します。この際、力士が取組中に激しく動いても崩れない強靭さと、見る者を唸らせる芸術的な美しさを両立させるのが床山の腕の見せ所です。また、大銀杏を結うことができるのは十両以上の証であるため、新十両昇進が決まった力士にとって、初めて大銀杏を結う瞬間は力士人生における大きな誇りと節目になります。
全国に点在する迫力ある巨樹としてのイチョウの名所
神社仏閣の境内や広大な公園など、日本全国には歴史の生き証人とも言える見事な大銀杏の巨樹が点在しています。これらは地域のシンボルとして、また信仰の対象として大切に守り継がれてきました。
例えば、鎌倉市の鶴岡八幡宮にある大銀杏は歴史的背景でも知られ、神聖なシンボルとして親しまれてきました。また、青森県深浦町の「北金沢のイチョウ」や、山梨県甲府市の武田神社周辺、京都府などの各地に、樹齢数百年から1000年を超える巨木が根を張っています。これらの巨樹は、春の新緑から初夏の深い緑、そして秋の黄金色へと季節ごとに異なる表情を見せ、訪れる人々に深い安らぎと自然の神秘を感じさせてくれます。
大銀杏の見頃の時期と秋の絶景を楽しむポイント
大銀杏が一年で最も美しく輝くのは、やはり秋から初冬にかけての紅葉シーズンです。地域や気候によって多少前後しますが、一般的には11月中旬から12月上旬にかけてが見頃のピークとなります。
気温がぐっと下がり、初霜が降りる頃になると、緑色だった葉が一斉に鮮やかな黄金色へと変化します。特に夜間にライトアップを実施している名所では、闇夜に浮かび上がる黄金の巨樹が幻想的な空間を作り出し、多くの写真愛好家や観光客で賑わいます。また、見頃の終盤には「落葉の絨毯(じゅうたん)」と呼ばれる現象が見られ、地面一面を黄金色のイチョウの葉が覆い尽くす圧巻の景色を楽しむことができます。
【大銀杏とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大銀杏を結えるのは、具体的にどのような力士ですか?
A1:大相撲において、十両以上の地位に昇進した「関取」と呼ばれる力士だけが土俵上で大銀杏を結うことを許されています。幕下以下の力士は「丁度」と呼ばれる別の髪型をしています。
Q2:植物の大銀杏と通常のイチョウの木に違いはあるのですか?
A2:生物学的な品種の違いではなく、長年の年月を経て幹が太く成長し、歴史的・景観的に価値が高まった巨大なイチョウの木を総称して「大銀杏(巨樹)」と呼んでいます。
Q3:全国にある大銀杏の見頃の時期はいつ頃ですか?
A3:地域やその年の気候によって異なりますが、例年11月中旬から12月上旬にかけて黄金色のピークを迎え、美しい紅葉や落葉の景色を楽しむことができます。
まとめ:伝統と自然が織りなす大銀杏の魅力
大銀杏とは、日本の豊かな自然が生み出した悠久の巨樹の姿であり、同時に日本の伝統文化である大相撲の格式を象徴する美しい髪型でもあります。植物としてのイチョウが数百年の歳月をかけて圧倒的な存在感を放つように、相撲界の大銀杏もまた、厳しい鍛錬を乗り越えた関取だけが纏うことのできる栄誉の証です。
それぞれの背景にある歴史や条件、そして職人の技術を知ることで、身近にあるイチョウの巨樹やテレビで目にする大相撲の取組が一段と深く、感慨深いものになるでしょう。季節の移り変わりとともに、ぜひ各地の大銀杏の美しさに触れてみてください。 (出典: 大 銀杏 と は(Yahoo!ニュース))